在宅医療・地域連携の取り組み

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自助グループとの連携

1 なぜ自助グループと連携するのか

自助グループは、当事者団体として、医療機関とは一線を画して自発的に運営される団体です。医療機関ではありませんが、心の病気をもつ人々が回復していくために非常に有効な社会資源です。「相互支援団体」といわれることもあります。専門家の力をかりず「自分の助け方を学ぶ」ところにその良さがあります。しかしアルコール医療では「治療の三本柱」として、専門医療の受診、抗酒剤服用、と共に並び称されるほど、その治療効果はみとめられています。
当院では、入院中から患者様を自助グループにお繋ぎするために、自助グループ会場への送迎バス運行、自助グループや中間施設からのメッセージを聞く機会の提供(院内断酒会、アルコール家族会)自助グループに準じた集団精神療法(EAメッセージ、あきばなサークル)を盛んに取り入れています。入院患者さんのみで自主的に行われる「休日ミーティング」もあります。また職員の中にも回復中のスタッフがおり、自助グループへの橋渡しをしています。
精神医療は病院だけで完結できません。こころの病をもつ人が社会に出て行くために、自助グループはぜひ必要なものなので、病院としても連携を深めていく必要があります。また、引きこもり、共依存、インターネット依存、カード依存、発達障害、性同一性障害など、さまざまな問題に対応する自助グループが生まれています。そのような情報も病院として、積極的にお伝えしていきます。

2 当院で行われている自助グループメッセージ

断酒会:実名主義、会費ありを特徴とする、アルコール依存症本人のグループ。家族での参加も奨励しており、家族会、酒害相談なども行っている。毎週金曜日の院内断酒会には、近隣断酒会の会長が参加するほか、第4土曜日には断酒会会員のお話を当事者と家族とで聞く会がある。また毎月30日は、当院を会場に「豊友会」断酒会を行っている。
AA(アルコホリクス・アノニマス):ミーティング・ネームを使っての参加、会費なしを特徴とする、アルコール依存症本人のグループ。12ステップを用い、クローズドミーティング(本人のみ)とオープンミーティング(家族、友人、関係者も参加可能)がある。第1土曜日、第1水曜日、第3月曜日にAAメッセージが行われる。
NA(ナルコティクス・アノニマス):薬物依存症者の自助グループ。潮騒ジョブトレーニングセンター(中間施設)が、月一度メッセージミーティングを行っている。
EA(イモーションズ・アノニマス):感情問題の12ステップグループ。毎週木曜日、メッセージミーティングを行っている。アルコール依存症、ギャンブル依存症、鬱病、強迫性障害、AC,統合失調症など、さまざまな症状の人が参加できる。

3 その他主要な自助グループ(詳細は各グループのWebサイトをご参照ください)

ACA:エーシーエー。機能不全家族の中で育ち、成人してから生きづらさに苦しむ人(AC)の自助グループ
CODA:コーダ。共依存症の自助グループ。
GA:ギャンブラーズ・アノニマス。ギャンブル依存症の自助グループ
ギャマノン:ギャンブル依存症の家族の自助グループ
OA:オーバー・イーターズ・アノニマス。過食症(摂食障害)の自助グループ
NABA:摂食障害の自助グループ。会員制。
HA:ひきこもり・アノニマス。ひきこもりをしていた人の自助グループ。

4 アルコール関係自助グループ補足

断酒会:昭和33年、日本人むけに工夫された回復方法を掲げる、酒害者による酒害者のための自助組織。会員制で夫婦や家族の参加が奨励されている。例会は2時間で、断酒の誓いなどを唱和したあと、司会者に従って本人や家族が飲酒にまつわる体験談を話していく。シングル(単身者)の断酒会、女性だけの断酒会(アメシスト)、家族会もある。現在、会員本人は約1万人。
AA:1935年(昭和10年)、アメリカで回復不可能といわれていた二人のアルコール依存症者が偶然に出会い、お互いの飲酒体験を語り、助け合うことで酒を止められることを発見した。これがAAの起源となる。彼らはミーティングや12ステップを通じて次々とメンバーを増やしていった。お互いのプライバシーを守り、メンバー同士の平等を守るために、本名、職業、住所などを明らかしにしなくてよい(アノニミティ)。日本では5千人、世界中では200万人のメンバーがいると推定されている。